a-3 ヴァイオリンによる3重音・4重音 (付録F.2.2 (2) の (q);図F.6,7,8 図3.56 J. S. Bach "Chaconne") 【参考】 付録F.2.2 「奏法概説」 弦鳴楽器 (2) ヴァイオリンの奏法 (q)多重音奏法,マルチ・ストップ ヴァイオリンによる3重音・4重音 「ヴァイオリンの多重音に関する実験的な演奏」 J. S. バッハの「シャコンヌ」の弾き方について 付録G.2 「楽器雑談」 弦楽器関係  G.2.2 (12)こんな弾き方もある (2) 曲がった弓の使い方 a.古楽器の弓として 「実際にはそんなものはなかった」とされるバッハ・ボウ(曲がった弓「ルントボーゲン」)を 使ったヴァイオリンの3重音,4重音の奏法. J. S. Bach の独奏ヴァイオリンのためのパルティータ2番の最終楽章として書かれた"Ciaconne"に 3重音,4重音が多数現れるので,その奏法が20世紀初頭に話題になったが,バロック期の楽譜は 忠実に演奏するために書くものではなく,奏者はそれを見て自分流に弾いたということで落ち着いた. それで,現在では低音側の1~2弦を先にひっかけるように短く弾き,すぐに高音側の2弦に移り, 時間長はその合計が音価になるように弾くようになったが,4重音まで弾くことのできる弓を作って 実験的な演奏をする奏者が何人かいる. Grumiaux.WAV:現在の標準的な奏法 奏者:フランコ・ベルギー派の代表的な奏者であったアルテュール・グリュミオー(Arthur Grumiaux) 以下は,通称「バッハ弓」を使って3重音・4重音を弾いた演奏. Buechner.WAV:小指で毛の張りを変えられるようになっているが,フロッグが重くなったようで弾きにくい    ように見える.奏者がこの奏法に馴れていないのか,和音がきれいにハモっていない. 奏者:ミュンヘン・フィルやカール・リヒターが率いるミュンヘン・バッハ・オーケスターのコン・マス    であったオットー・ビュヒナー(Otto Büchner) Telmanyi.wav:どうも,練習不足か技術不足のように聞こえる.バッハ弓"Vega"を使っている.1954年の録音 奏者:ハンガリア人エミール・テルマニー(Emil Telmányi)デンマークの作曲家カール.ニールセンの娘婿. Gaehler.wav:編者が知る限りではバッハ弓で弾いたシャコンヌの最も新しい録音.1998年録音.1727年のStradivari. 奏者:Rudolf GählerはSchweitzerにバッハ弓を使ってシャコンヌを弾けと言われて弾いたRolph Schröderに    師事したので,バッハ弓演奏の本流といえる.ボン・ベートーベン・オケのコンサート・マスターであった.